生徒の活動レポート

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「江戸時代の本を読もう」講座を行いました 2025年08月02日

 7月28日(月)、国文学研究資料館特任准教授の松原哲子先生をお招きし、「江戸時代の本を読もう」講座を開講しました。松原先生は本校の卒業生であり、主に草双紙(江戸時代の絵入り小説)を専門とする研究者で、実践女子大学でも教鞭をとられています。これまでにも「紙漉きワークショップ」や昨年7月実施の「紙からSDGsを学ぼう」講座などで本校生徒の学びに協力してくださっています。

 講座はまず、江戸時代の本に使われている「変体がな」を知るところから始まりました。本校書道科の教員が、現在使われているひらがな以外のかな文字——変体がなを紹介。生徒たちは、硬筆で実際に変体がなを書いてみたり、変体がなを使って残暑見舞いを書いたりしたあと、いよいよ江戸時代に出版された本の解読に挑戦。

今回、生徒たちが読んだ本は、山本板『舌切雀』(実践女子大学図書館所蔵。実践女子大学学術機関リポジトリにて公開)という江戸時代の絵本で、現代の私たちにも昔話としてよく知られているものです。松原先生によると、「山本板」と呼ばれるこの本は実践女子大学の図書館に収蔵されているものしか確認されておらず、とても珍しい資料であるとのこと。

 今回生徒たちは、雀が舌を切られて逃げ出す場面と、心優しいおじいさんがつづらをもらって帰る場面の解読に取り組みました。まずはひとりで、次にグループに分かれ知恵を出しあって解読に挑みます。変体がなの一覧表と見比べながら、挿絵と文字が入り乱れる本を真剣に、懸命に読み解いていき、何が書かれているのか読めるとうれしそうな声をあげていました。松原先生からは、江戸時代の本屋の事情や大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で話題の「蔦屋重三郎」にまつわる話、最新の研究成果についての解説もあり、生徒たちはこれらも興味深そうに聞いていました。

 解読のあとは、実際に江戸時代の本に手で触れてみました。講座が行われた書道室には、松原先生ご所蔵の江戸時代の書物や複製本が多数並べられていました。当時の小説や、武士の心得を書いた本、百科事典的な本、『百人一首』をおもしろおかしくパロディーにした本など、ジャンルもさまざま。本校図書館の司書教諭によって、関連する本を載せたラックも運びこまれ、書道室内はさながら小さな移動図書館のように。参加者の中には国語文芸部の生徒が多かったこともあり、歴史を感じさせる本を次々に手にとっては、書かれている文章や挿絵を楽しそうに拾い読みしていました。

 本講座は、書道科・国語科・社会科など様々な教科を横断する探究的な学習の端緒として企画されたものです。ホンモノに触れながら、頭も五感も古典漬けになれる貴重な時間となりました。

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