紙漉きワークショップを行いました。 2024年01月22日
1月13日(土)、本校書道室で「ホンモノの江戸時代の書物を使った紙漉き体験で、江戸時代の循環型社会を学ぼう!」プログラムが開催されました。
中高生15名ほどが参加したこのプログラムでは、元実践女子大学食生活科学部教授の澤山茂先生、国文学研究資料館機関研究員(本校卒業生)の松原哲子先生をお招きし、江戸時代の草双紙など文学作品を通して、「紙」を科学的に観察していきます。
集まった生徒たちは、澤山先生から「そもそも紙ってどうやってできるの?」を学びました。原料によって紙の質や強度が異なることや、また植物繊維以外のものを使った紙もあることなど、紙や本をテーマにしているのに理科のような内容で、生徒たちも興味深々です。そして、松原先生からは、御自身の研究テーマである草双紙を題材に、「大学の学問とは何か」を語っていただきました。常識や定説に疑いを持ち、それを研究することの大切さや困難、そして面白さなどをお話しいただくことで、生徒たちは普段当たり前のように使っている「紙」からも、様々なことがわかると知り、たくさんメモをとっていました。
この日のメインイベントは、澤山先生からお話いただいた「紙漉き」の体験です。水に溶かした繊維が絡まりあって、頑丈な紙になっていきます。松原先生にご用意いただいた材料で、世界で1枚のオリジナルカードを作成しました!
また、書道室では「VHX-8000 デジタルマイクロスコープ」を使用しました。これを使うと、紙の表面の微細な形状を観察するために、20倍から最大1000~2000倍まで拡大できるだけでなく、その場で3D化し、紙の厚さや繊維の流れをより立体的に観察できる、超最先端の実験器具です。
澤山先生と一緒に操作していくと、肉眼では絶対に確認することができない、細かな情報を得ることができました。「この紙は繊維ががっちり絡んでる」「繊維の間に、木屑みたいなものがある!」「これって人の髪の毛?」など、自然と感動と驚きの声があふれました。
繊維をよく見てみると、不自然に隆起していたり、黒いシミのようなものがポツポツと見えたりしました。「これは、他の紙を一度溶かして再利用しているから、溶け残りです。つまり江戸時代は紙の再利用を行っていたのですね」という言葉に、生徒たちもはっと気づかされた様子でした。「紙」を多角的に観察することで、江戸の循環型社会の一端を肌で感じることができたようです。
これからも、大学や研究機関などとの連携を通じてプログラムを開催していきたいと考えていますので、生徒たちは中高にいながら「ホンモノに触れる」ことを楽しんでほしいと思います。