高校3年生が『檸檬』草稿を見学しました。 2023年10月17日
9月26日(火)から29日(金)にかけて、実践女子大学図書館が所蔵し、渋谷キャンパス図書館で展示している梶井基次郎の『檸檬』の草稿を、高校3年生が現代文の授業で見学しました。これは実践女子大学文学部国文学科と中高国語科の連携により実現したものです。現代文の授業で『檸檬』を読む時期に合わせ、今年で5回目となる高大連携の取り組みです。
99年前に書かれたこの草稿は長らく所在不明となっていましたが、実践女子大学図書館が2011年に古書店から購入しました。近代文学の名作『檸檬』誕生の経緯を物語る第一級の資料です。
今回の見学では文学部国文学科教授の棚田輝嘉先生による解説を聞くことのできたクラスもありました。
「この作品は初め、「銀の鈴」という題名でした。この草稿でも題名が書かれていますが、黒く塗りつぶされているのがわかりますか?」
「『檸檬』の書き出しは、「えたいの知れない不吉な塊」ですが、同人誌「青空」に初めて発表された時は、「塊」ではなく、「魂」となっていました。どちらが本当なのか、草稿を見ることでわかりますよ。」
棚田先生からの問いかけに生徒達は考えたり、草稿をじっくりと確認したりしながら梶井の創作過程を感じとっていました。
作品の持つ可能性を想像する、豊かな時間となりました。