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本校の生徒が「第三十二回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の佳作特別賞、佳作に入賞・入選しました! 2021年11月17日

 本校の生徒4名が「第三十二回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の佳作特別賞と佳作に入賞・入選しました。
 中2が1名、中3が2名、高1が1名と4名の生徒の受賞連絡をいただきました。中学、高校のそれぞれの全校朝礼で作品と名前が紹介され、国語科の教員からの講評がありました。受賞した生徒もクラスメイト達も、誇らしい表情で聞いていました。
 今回の受賞作品は、中学校の国語の授業で俳句の作り方を学んだ生徒たちが創作し、各自が応募したものです。
 入賞した作品と、教員からの講評をご紹介します。

佳作特別賞

絵手紙に 蝋梅咲かす 祖父の筆(中2/H)
【講評】
蝋梅(ろうばい)は冬の季語です。蝋細工のように光沢のある黄色い花を咲かせることからこう呼ばれます。作者のおじいさんは、いつも季節の風物を絵手紙に描いて作者に送ってくれる素敵な方なのでしょう。結びの句を「祖父の筆」と体言止めにしたことがとても効果的です。これにより、紙という無機質なもの、本来花が咲くはずのないものにも季節の花を咲かせてしまうような、おじいさんの絵筆の技に対する孫の感動と尊敬の思いがよく伝わってきます。

ゆず一つ 眠りに落ちる お風呂かな(中3/I)
【講評】
柚子を浮かべたお風呂は冬のテーマです。柚子湯は身体を温め、無病息災の効能があるとされています。寒さ厳しい冬の夜、家のお風呂で柚子湯につかり、思わず眠ってしまいそうに心も身体もほぐれていく。静かで穏やかなひとときがよく表現されています。
さて、眠りに落ちるのは、作者自身なのでしょうか。それとも、お風呂に落とされた柚子なのでしょうか。はたまた、両方なのでしょうか。色々な解釈ができそうなところも、この作品の奥深さといえます。

佳作

白鳥が 暗い夜空を 白くする(中3/A)
【講評】
季語は白鳥、冬の季語です。白鳥は渡り鳥で、11月ごろにシベリアから日本に渡ってきて冬を越し、3月ごろ帰っていきます。「白鳥」の「白」と、「暗い」「夜空」が連想させる「黒」の色の対比が鮮やかです。夜の鳥というのは古き万葉の時代から詠まれ続けている古くて新しいテーマです。この作品は、特に白鳥の「白」の清らかさに焦点をあてているといえるでしょう。白鳥の群れが漆黒の夜空を白く染め上げてしまう、そんなダイナミックな光景を「白くする」ときっぱり言い切ったところが見事です。

思い出は よってたかって 春の鹿(高1/S)
【講評】
鹿の多い土地で、餌を目当てに群がられた思い出を詠んだものでしょうか。「よってたかって」は通常、あまりよい文脈では使われない言葉ですが、この作品では、鹿のコミカルでかわいらしい様子を描き出す効果を発揮していておもしろいです。一方で、そこはかとなく悲しい気分も感じられる作品です。季語である「春の鹿」は、出産をひかえてやつれていたり毛の色があせていたりする、みすぼらしい鹿であるからです。春は心が浮き立つと同時に古来愁いの季節でもあります。どことなく哀れを誘う鹿に対する作者の同情や共感もあるのかもしれません。

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