グルー・バンクロフト基金奨学金を得て 2021年03月04日
本学園中学校高等学校の高校3年生が、2021年秋に米ニューヨーク州の「Union College(ユニオン・カレッジ)」に進学します。公益財団法人グルー・バンクロフト基金から米国大学進学をサポートする奨学金を贈られることが決まり、今夏に渡米。「将来は米国で就職したい」という夢の実現を目指します。
由緒ある歴史の奨学金
高校3年生の生徒さん(以下、Aさん)はグルー・バンクロフト基金奨学金が贈られることが決り、米国のリベラルアーツ大学の一つであるユニオン・カレッジに出願、このほど合格通知が届きました。
Aさんは、グルー・バンクロフト基金から、大学から授業料免除を受けるタイプの奨学金を受けることが正式に決まりました。なかなか貰うことが難しい奨学金です。彼女が応募した2020年採用・2021年秋の選考データはまだ公表されていませんが、過去2年間を遡れば、2019年は全体で78人の応募(2018年は77人)があり、上位10人(同7人)しか奨学生に採用されていません。
難しさは、同基金の由緒ある歴史も一因となっています。同基金の前身は、1928年と1950年にそれぞれ設立されたバンクロフト基金、グルー基金です。創設以来90年以上の歴史があり、これまで全国で120高校から3年生200人以上の生徒が、奨学金を受け米国の大学に進学・留学してきました。もちろん本学園から同基金奨学生を輩出するのは初めてです。東京都内の46校に限れば、桜陰や女子学院、雙葉、慶応女子など名だたる高校と肩を並べる壮挙となりました。
進学先は本場のリベラルアーツ大学
進学が決まったユニオン・カレッジは、1975年に創立されました。ニューヨーク市から北へ車で3時間。キャンパスは米国ニューヨーク州スケネクタディのダウンタウンにあり、全米40州と海外50か国からの学生2000人が学ぶ典型的な米国のリベラルアーツ大学です。
そもそも彼女に贈られる奨学金は、米国のリベラルアーツ大学に進学する学生が受けるタイプのものでした。そのリベラルアーツ大学とはどんな大学か、皆さんはご存じでしょうか。本場アメリカの「リベラルアーツカレッジ」は、かつてオバマ元大統領やアップル創業者のスティーブ・ジョブス氏も学び、総合大学の実用性や専門性以上に、幅広い知識や教養を身に付ける「人間教育」を重視しています。全米に約600校あり、学生規模も500~3000人と小規模ですが、ほとんどは教職員や学生同士でアットホームな関係が築ける全寮制です。全米最古の大学・ハーバード大学も起源をたどれば、リベラルアーツ大学でした。
Aさんは、教科では「生物が得意」と話してくれました。彼女に米国大学進学、ひいてはリベラルアーツ大学に進学したいという理由を尋ねると、「大学入学後に学部選択ができ、学部に縛られることなく、興味のある授業を受講できること」、「1年目には理系文系問わず、特に横断的な学びができるようにカリキュラムが組まれており、この可能性を広げてくれる大学のシステムが、魅力的だと思った」などと語っています。
米国生まれ、加州育ちの帰国子女
翻って、Aさんは帰国子女です。本学園中学校高校に入学後6年間を過ごす前は、米国カリフォルニア州ロサンゼルス市郊外のアーバインで暮らしていました。アーバインはロサンゼルス市から車で約1時間。カリフォルニア州のディズニーランドにも近い全米の中でも治安のいい都市です。もともとが米国生まれですが、現地アーバインの公立学校に通学する傍ら、毎土曜日は日本人補習校で日本語や日本文化を学んだといいます。この結果、Aさんのベースは完璧な英語のネイティブながら、本学園での学校生活が加わり、「授業によって違いますが、読んだり書いたりするのは英語の方が得意。でも話すのは日本語の方」という、独特なバイリンガルスタイルを身に付けました。
「大学卒業後は米国で就職したい」というAさん。彼女には将来、グローバルな活躍が期待されていますが、自身の性格を「控えめ。自己主張をすることはないし、(米国生まれですが)日本人的気質の方が強いのでは」と自己分析しています。そんな彼女は日本で過ごした6年間を「一年中温暖なカリフォルニア州とは違う日本の四季の美しさが印象に残った」と語ってくれました。