2025年度入学に寄せて(校長、理事長祝辞) 2025年04月08日
入学に寄せて
保護者の皆様、お嬢様のご入学、まことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
本日は皆さんの入学式を祝ってくれているかのように満開の桜を残してくれました。校内が桜色に染まっています。
本校は、一八九九年(明治三十二年)、近代女子教育の先駆者であった下田歌子によって創立されました。
女性の社会的地位がほとんど問題とされなかった時代において、いち早く女性の地位向上を目指し、その基礎が女子教育にあることを確信していたのが校祖下田歌子でした。
教育により、女性の品格を高め、さらに実践的な学業を授けることで自立の基礎とし、社会に貢献できる人材を育成しようとしたのです。
以来、本校は一貫して、堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成を目指し、また、この教育理念を持つことを誇りとして、社会で活躍する多くの人材を世に送り出してきました。これまで送り出した卒業生は、学園全体で一七万人を超えています。
下田歌子は、現在の岐阜県恵那市岩村というところで生まれましたが、明治四年、十六歳の時に、はじめてふるさとを離れて、東京を生活の拠点としました。ふるさとに別れを告げる時に詠んだのが「綾錦の歌」です。その歌は、
綾錦着て帰らずば三国山
またふたたびは越えじとぞ思ふ
というものです。歌の中の「三国山」はふるさとと東京方向をへだてる山です。
志を遂げることができないのなら、私は二度とふるさとに戻るつもりはないという決意の歌でした。
この志とは、富や名声といった、個人的な立身出世の思いではありません。社会に貢献し、その中で自己の実現を図ろうとしていました。
この二十八年後、明治三十二年に本校を創立することになります。
十六歳の少女は高い志を抱いておりました。若き女性の高き志、これが本校の原点です。
創立者は生涯に多くの言葉を残していますが、入学にあたり、その一つを紹介したいと思います。学園の建学の精神に深く関わることばであり、女性の生き方を諭された次のような言葉です。
揺籃を揺るがすの手はもってよく天下を動かす
という言葉です。揺籃とは揺りかごのことです。揺りかごを揺する手は、当時にあっては、母の手であり、女性の手です。
現代では、揺りかごを揺する手に男女の差はありませんが、そのような愛情に満ちた手が、社会を変え,世界を変えることが出来るのだというメッセージです。
皆さんも是非この気概持って、本校で多くのことを学んでいただき、生涯の財産を築いていただきたいと思います。
現代、女性の社会的な活躍がより一層求められています。社会を支え、発展させる女性を世に送り出すことは本校の責務であり、みなさんに強い期待を抱いております。皆さんは、私たちの未来への希望です。
また、校祖は教職員に「父母がその愛児に臨むの心をもって生徒に対すべし」という言葉も残しています。生徒を我が子のように大切にしました。
教育の理念とともに、生徒一人一人を大切にするという伝統も教職員の間に脈々と受け継がれています。
本校は長い伝統により培ったすべての環境をかけて、皆さんを支援し、大切にしていきます。高い目標をもって、安心して学んでください。
学業を中心に、それだけでなく、いろいろな物事にチャレンジしてください。多くの友達と語り合い、生涯の友達、生涯の先生に出会ってください。
そうすれば、皆さんはいつか、いままで気がつかなかった自分を発見していることでしょう。
私たちは、皆さんが有意義な学びの生活を送るためのあらゆる支援や、そのための努力を惜しみません。
最後になりますが、保護者の皆様、責任をもって、お嬢様を、大切にお預かりいたします。
本校でのびのびと過ごされ、大きく成長されることを全力でお支えすることをお誓い申し上げます。
2025年4月 8日
実践女子学園中学校
校長 湯浅茂雄
実践女子学園にようこそ
新⼊⽣の皆様、並びに保護者の皆様、実践⼥⼦学園中学校へのご⼊学、誠におめでとうございます。
また、多くの選択肢がある中から、実践⼥⼦学園中学校を選んでくださり、ありがとうございます。
実践⼥⼦学園は、昨年、創⽴125周年を迎えました。本学園の創⽴者であり、⼥⼦教育の先駆者である下⽥歌⼦は、100年以上も前に世界に⾶び⽴ち、「⼥性が社会を変える、世界を変える」という建学の精神をまさに「実践」し、本学園を創⽴しました。
この歴史と伝統の重みを背負いつつ、創⽴者の意思を引き継ぎ、時代の変化を踏まえた改⾰を⾏うことで、より良い教育を実現しています。
特に、「社会連携」・「グローバル化」をテーマにした学習の機会を皆様に提供することで、未来のために⾃ら社会や世界をより良くしようとするマインドを育む教育を推進しています。
また、実践⼥⼦学園中学校⾼等学校には、⼤学・⼤学院も併設され、⼤学との物理的な近さもメリットの⼀つとなっています。
課外活動等での⼤学⽣と⾼校⽣の交流により、「⼤学⽣」という将来をイメージしやすくなります。⼤学の授業を受け単位を修得することもできるようになっています。
皆様が、しなやかに、そしてたくましく⽣きていく⼥性に成⻑できるよう、私たち実践⼥⼦学園⾃⾝も学び続け、多様な学びの機会を提供できるよう弛まぬ努⼒をしていきます。
今年⼊学された皆様が社会にはばたく頃には、本学園の建学の精神である「⼥性が社会を変える、世界を変える」という⾔葉が当たり前の世の中になっているかもしれません。
そのような社会の中で、⾃ら機会を掴んで「実践」していける⼈材になってほしいと期待しています。
⼀⼈ひとりの意思や個性はそれぞれです。中学、⾼校という⼤切な時期に、⾃分⾃⾝をしっかりと⾒つめ、⾃分らしさを⾃分で⾒つけてほしいと考えています。
多くの経験をする、多くの友⼈と触れ合う、そんな時間を過ごしてほしいと思います。
新しい学園⽣活が、皆様にとって充実したものとなり、夢に向かって進む⼀歩となりますよう、⼼から願っています。
2025年4月 8日
学校法人 実践女子学園
理事長 木島葉子