2024年度卒業に寄せて(校長、理事長祝辞) 2025年03月03日
卒業に寄せて
皆さんが、六年間、親しんできた下田先生胸像脇の白梅と紅梅は、今、満開の時期を迎えています。
本日は、お湿りとなりましたが、出発の日は雨の日が良いという言葉もございます。
春の息吹が豊かに感じられますこの良き日に、ご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、令和六年度、実践女子学園高等学校の卒業式を、かくも盛大に挙行できます事は、本校教職員が等しく喜びとするところでございます。
本日、晴れて卒業を迎えられた皆さんに、心からお祝いを申し上げます。ご卒業おめでとうございます。
また、入学以来、お嬢様の成長を全力で支えられ、見守られてこられた保護者の皆様におかれましては、本日のお喜びは一入(ひとしお)のものがおありかと存じます。改めまして、教職員を代表して、衷心よりお祝いを申し上げます。
さて、全ての卒業生の皆さん、まず初めに、これまで長い年月、皆さんの成長を願い、六年間、本校に通う環境を整えられ、全力で支えてくださった保護者の皆様を始め、皆さんを支えてくださった多くの方々に、この機会に改めて感謝の気持ちを伝えていただきたいと思います。
皆さんは入学以来の六年間、「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成を目指し、これがため、生徒は良識を養い、実践を尊び、責任を重んずる」という教育方針の下、この言葉にふさわしく、心身ともに健やかに成長されました。そのことを何よりも嬉しく思います。皆さんは私たちの自慢の生徒です。
本校は女子教育の先駆者、下田歌子先生が「女性が社会を変える、世界を変える」という高い志を持って明治三十二年に創立されました。
校祖は、女性の社会的地位がほとんど問題とされなかった時代において、いち早く女性の地位向上を目指し、その基礎が女子教育にあることを確信していました。
その高い志とゆるぎない信念により、本校は発展を続け、女性には教育は必要ないとまでいわれた時代を変えたのです。
私たちは校祖の高い志を受け継ぐ者でありますが、皆さんにもまた、この高い志が受け継がれていくことを切に願っています。あなたたちが、社会をより良く変え、世界を変えるのです。その気概を持って生涯にわたって学び、学んだことを実践し、社会に貢献しなさいという教えです。
ここに本校のすべての教育プログラムの源泉があり、校名の「実践」の由来もあります。
今皆さんの胸の内にはどのような思いが去来しているでしょうか。皆さんの六年間はどのようなものだったのでしょうか。
教室での教科の学習はもとより、各種委員会活動、部活動、多くの学校行事を通して、様々な能力を開花させ、伸ばしていく皆さんの姿を見てきました。
新型コロナ感染症の拡大が重くのしかかっていた時期もありました。皆さんの安全を第一に考えて、学校生活に多くの制限を加えると言う苦渋の決断を何度もしなければなりませんでした。申し訳なく思っていました。行事を直前で中止さざるを得ず、皆さんの悔し涙も見てきました。
しかし、皆さんは嘆いているばかりではなく、気持ちをすぐに切り替えて、そのような環境を正面から受け止めて、限られた時間、限られた機会を生かして、皆で知恵を出し合い、工夫をして、精一杯の成果を残してくれたのです。
そこには思いやりがあり、それは私たちにも向けられていました。そこには笑顔がありました。
皆さんは、コロナに負けていませんでした。そのような皆さんの姿にどれだけ助けられたかわかりません。
皆さんを誇りに思います。皆さんは今後どのような環境においても、しなやかに力強く乗り越えていかれると信じています。
皆さんにとっての実践女子学園が、生涯の先生、生涯の友に巡り会えた、かけがえのない学校であり、いつでも帰ってきたい母校として、皆さんの心に深く刻まれることを願ってやみません。
卒業後も本校を度々尋ねてきてください。その時は「お帰りなさい」とお迎えします。ですから今日は、最後に「行ってらっしゃい」と言う言葉で送り出します。
保護者の皆様に申し上げます。
現在、まさに先の見通せない時代であり、規範も緩みがちな風潮にあります。その中で、お嬢様には、教職員一同、女子教育の伝統を踏まえつつ、変えなくてはならないもの、または変えてはならない大切なものをしっかりと手渡してきたつもりです。
至らぬこともあったかと存じますが、このように立派に成長されたお嬢様に免じてお許しいただきたく存じます。
本校の教育方針に関しまして、これまで賜りました皆様のご理解とご協力に改めて御礼申し上げます。ありごとうございました。
最後に個人的な想いに触れることをお許しください。
私と皆さんとのお付き合いは四年になります。四年前に校長として着任してきたからです。
皆さんは中学三年に進級した時でした。それまで私は実践女子大学の教員でしたから、女子大学生との付き合いには長い経験がありましたが、中高生をお預かりした経験はなく、皆さんが受け止めてくれるのかどうか、とても不安で怖かったのです。
そんな状況で、校長生活が始まりましたが、皆さんは笑顔で元気よく挨拶をしてくれましたし、遠くから手を振ってくれたり、話しかけてくれたり、質問や相談に来てもくれました。
暖かく迎えてくれたのです。何とかやって行けるかもと思え、今に至りますのは、皆さんのお陰です。ありがとう。皆さんの笑顔を忘れることはなでしょう。
それでは、万感の思いを込めて、卒業者の皆さんと、ご臨席を賜りました保護者の皆様のご多幸と、ご発展をお祈りして、式辞といたします。
卒業生の皆さん、いってらっしゃい。
2025年3月 3日
実践女子学園中学校
校長 湯浅茂雄
卒業に寄せて
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
春の訪れとともに、この晴れの日を迎えることができ、大変うれしく思います。心よりお祝い申し上げます。
皆さんは6年前に、期待と不安の入り混じった気持ちをもって本校に入学されました。
入学後は、3つの学びの柱である、探究教育、感性表現教育、グローバル教育を通じ、多種多様な経験を積み、多くのことを身につけたことと思います。
在学中には、想定もしていなかった新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一部の行動制限をしながらの学校生活を送っていた時もありましたが、これも今後の人生において貴重な経験となることでしょう。
高校1年時にはシンガポール、ニュージーランド、沖縄の選択制修学旅行に参加し、運動会やときわ祭など、多くの思い出深い経験もされました。
この間、皆さんは多くの経験を積むとともに、多くの友人との絆を深めることもできたと思います。
これからは、自分の得意な分野を見つけ、それぞれが希望を胸に、さまざまな進路を歩まれることと思います。
しかし、新しい環境の中では、迷いや困難に直面することもあります。
その時は、本校での学びや友人との絆を思い出し、力強く乗り越えていってください。本校で培ったものは、皆さんの大切な財産です。
卒業生であることを誇りに、自信を持って進んでいってください。
私たち教職員は、卒業後も皆さんのことを応援しています。困ったことや相談したいことがあれば、いつでも頼ってきてください。
保護者の皆様、お子様のご卒業の日を迎えられましたこと、お祝い申し上げます。
お子様の成長と努力に感慨深い思いを抱かれているのではないでしょうか。皆様が、お子様の成長を見守り、支えてこられたことに心から感謝をいたします。
これからも、お子様の良き相談相手として、強力なサポーターとして、見守っていただければと思います。
最後に、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。ご卒業、誠におめでとうございます。
今年入学された皆様が社会にはばたく頃には、本学園の建学の精神である「女性が社会を変える、世界を変える」という言葉が当たり前の世の中になっているかもしれません。
そのような社会の中で、自ら機会を掴んで「実践」していける人材になってほしいと期待しています。
一人ひとりの意思や個性はそれぞれです。中学、高校という大切な時期に、自分自身をしっかりと見つめ、自分らしさを自分で見つけてほしいと考えています。多くの経験をする、多くの友人と触れ合う、そんな時間を過ごしてほしいと思います。
新しい学園生活が、皆様にとって充実したものとなり、夢に向かって進む一歩となりますよう、心から願っています。
2025年3月 3日
学校法人 実践女子学園
理事長 木島葉子