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中学入学式式辞 全文 2021年04月12日

中学入学式 式辞

二四一名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

皆さんをお迎えすべく、教職員一同、心を一つにして、準備を進めてまいりました。本日は、学園創立以来一二二回目の入学式です。教職員を代表いたしまして、実践へようこそと申し上げます。

また本日、ご出席をいただきましたご父母の皆様、ご親族の皆様、お嬢様のご入学、まことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。

本校は、一八九九年(明治三十二年)、近代女子教育の先駆者であった下田歌子によって創立されました。女性の社会的地位がほとんど問題とされなかった時代において、いち早く女性の地位向上を目指し、その基礎が女子教育にあることを確信していたのが校祖下田歌子でした。
 
教育により、女性の品格を高め、さらに実践的な学業を授けることで自立の基礎とし、社会に貢献できる人材を育成しようとしたのです。
以来、本校は一貫して、堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成を目指し、また、この教育理念を持つことを誇りとして、社会で活躍する多くの人材を世に送り出してきました。これまで送り出した卒業生は、学園全体で一七万人を超えています。
 
下田歌子は、現在の岐阜県恵那市岩村というところで生まれましたが、明治四年十六歳の時に、はじめてふるさとを離れて、東京を生活の拠点としました。
ふるさとに別れを告げる時に詠んだのが「綾錦の歌」です。(歌の中の「三国山」はふるさとと東京方向をへだてる山です)歌は、

綾錦着て帰らずば三国山またふたたびは越えじとぞ思ふ

というものです。
志を遂げることができないのなら、私は二度とふるさとに戻るつもりはないという決意の歌でした。この志とは、富や名声といった、個人的な立身出世の思いではありません。社会に貢献し、その中で自己の実現を図ろうとしていました。この二十八年後に本校を創立することになります。
十六歳の少女は高い志を抱いておりました。若き女性の高き志、これが本校の原点です。

創立者は生涯に多くの言葉を残していますが、本日の入学式にあたり、その一つを紹介したいと思います。本校の教育方針に深く関わることばであり、女性の生き方を諭された次のような言葉です。

揺籃を揺るがすの手はもってよく天下を動かす

という言葉です。
揺籃とは揺りかごのことです。揺りかごを揺する手は母の手であり、女性の手です。すなわち、女性は社会を変え,世界を変えることが出来るのだというメッセージです。
皆さんも是非この気概持って、本校で多くのことを学んでいただき、生涯の財産を得ていただきたいと思います。

現代、女性の社会的な活躍がより一層求められています。社会を支え、発展させる女性を世に送り出すことは本校の責務であり、みなさんに強い期待を抱いております。皆さんは、私たちの未来への希望です。

また、校祖は生徒を我が子のように大切にしました。教育の理念とともに、生徒一人一人を大切にするという伝統も教職員の間に脈々と受け継がれています。本校は長い伝統により培ったすべての環境をかけて、皆さんを支援し、大切にしていきます。高い目標をもって、安心して学んでください。
学業を中心に、それだけでなく、いろいろな物事にチャレンジしてください。多くの友達と語り合い、生涯の友達、生涯の先生に出会ってください。そうすれば、みなさんはいつか、いままで気がつかなかった自分を発見していることでしょう。
私たちは、みなさんが有意義な学びの生活を送るためのあらゆる支援や、そのための努力を惜しみません。

最後になりますが、ご父母の皆様、本日より六年間、責任をもって、お嬢様を、大切にお預かりいたします。六年間を本校でのびのびと過ごされ、大きく成長されることを全力でお支えすることをお誓い申し上げ、式辞といたします。 

令和三年 四月七日   実践女子学園中学校 校長 湯浅茂雄